VFO-1

VFO-1 を使う！

2006年８月15日　掲載

AMにアクティブに出たい　として、手っ取り早くやるにはまずVFOということで、「とにかくVFO-1を使うぞ」　という企画です。もちろんAMシステム用です。
問題はとにかく安定度。DDSが難なく実現できるこの世の中で、真空管の機械を使おうというのですから、それなりに根性が要ります。外観は、　も、ち、ろ、ん、　AMのシステムに整合をとります。とにかくばっちりやります。
　

温度補償の思想
①スイッチ投入後定常状態に達するまでの間のドリフトをなるべく抑えるようにするか、②周囲温度変化に伴う周波数変化をなるべく抑えるようにするか、、、　ともすれば①にフォーカスしがちでありますが、私はどちらかというと②に持っていきました。スイッチオン１時間もエージングした以降は、昼夜の外気温変化があってもピクリとも動かない　というものにするのが目標であります。
といっても①も忘れたわけではない。努力対象であります。
全体の動作
オリジナルのVFO-1は、動作時のみ全体の電源が供給されるようになっています。簡単にスタンバイ制御する方法としてはもってこいなのでしょうが、これではスタンバイするたびに温度変化が繰り返されます。上に述べたの設計思想とも関連しますが、エージングプロセス中のドリフトのプロファイルはここでは考慮しないことにしていますから、これでは都合が悪い。そこで、バッファの6BA6と終段の6AQ5には常時電源を供給し続けるように、スタンバイ時には発振管だけが動作切り替えされるようにします。
これによる発熱（主として6AQ5と電源トランスからの発熱）はそれなりに大きなもので、スイッチオン後30～40分もすれば筐体温度は大体安定するようになります。そして設計思想上、この状態で、（外気温が変化したとしても）一定の周波数で安定するようになります。
と一口に言っても、そうは簡単にはいかない。回路的な工夫はもちろん、部品取り付けの工夫や、もちろん部品そのものの選定も大切になります。
このDDS時代にあえてこういうことをやって、何とかVFO-1を再生しましょう（してみましょう）というのが、この企画でありますhi
回路
発振周波数に効くところはちゃんと押さえます。
まず温度補償。もともとチタコンを使った補償コンデンサが取り付けられていますが、もうちょっと何とかしましょう。バリコン（エアトリマ）で常数調整ができるようにするとか。。。
6BA6プレートのRFCや出力取り出し用のコンデンサも発振周波数に効きます。私は、プレートのRFCは抵抗に交換してしまいました。コンデンサはNP0特性のもの（黒）に交換。
あと、B+の安定化補強とヒーターの安定化は必須。B+は低電圧放電管で安定化されていますが、さらにツエナーを追加します。私は、温度係数が0に近い5Vのツエナーを8本直列にして、発振管の電源としました。ヒーター安定化は、単純に3端子レギュレータを利用します。
それから真空管の電極容量の初期変動（スイッチオン直後から、容量増加の方向に動く）をなんとか補償したいという意味で、6BA6の１ピンと７ピンの間にも、小容量の温度補償コンデンサを入れてみました。
部品選定
温度補償コンデンサだけがポイントのようですが、これがどおして、なかなか面倒であります。特に絶縁物；　ステアタイト以外の絶縁物は一切使わないこと。たとえば、バンドスイッチのベークライトのウエハーは全くNGです。私はバンド切り替えはあっさりあきらめ、3.5Ｍ出力のシングルバンドとしてしまいました。温度補償のスチコンを取り付けているラグ板もNG。タイト製のものに交換します。ピストントリマもこの際けちらず、タイト絶縁の半固定バリコンに交換します。
要するに、温度感度の高い部品はなるべく交換することです。吹き出し口にストローを付けた小型のブロワを用いて、特定の部品に風を当てるようにすれば、温度感度の高い部品はすぐに分かります。　⇒周波数カウンタが要ることは当たり前。。。
発振管6BA6は新品に交換。ケチってはいけません。ソケットはタイトにする？　私は元のまま、交換していません。　メインのバリコンの絶縁はスチロールのようですが、バリコンごと交換しよう　とかいうのはちょっと大変でしょう。
部品配置
LCボックスが重要です。このボックスは、発振周波数に関連する部品の温度　が　ばらつきなく全部同時に均一に変化するようにすることが目的であります。そのためには、発熱体と分離した構造物を作って、その中に部品を全部ぶち込むこと。外部の発熱体から見た部品の熱容量を大きくし、全部がなじみながらゆっくりと同時に温度変化するようにしてやります。これがLCボックスの目的で、シールドとか、そういったものではありません。
こういった意味からは、ボックスの6面が均一に温度変化するのが望ましいですが、ＶFO-1ではLCボックスの底板がシャーシと共通ですので、そうはいきません。シャーシの温度変化が残りの面に伝搬して、それで庫内の温度が変化するような形になります。
それで、ともかくそのようなLCボックスに、発振周波数に関連する部品を全部収納します。LCはもちろんですが、温度補償関連もいうまでもなく。もちろんツエナー群もボックス内に取り付けます。忘れがちな重要部品は、もともとシャーシ裏に取り付けられている6BA6カソードのRFCです。これもLCボックス内に移設。
6BA6の１ピン／７ピン間に入れるコンデンサは、ソケットのピンのなるべく根本の方に、リード線を短く切って直づけします。チタコンはNGです；　熱容量上セラミックコンデンサでないとダメ。本当は、このコンデンサもLCボックスに入れたいところですが、そうすると、LCボックスから真空管がニョキッと生えるという、真空管式VFOでよくあるスタイルにならざるを得ないでしょう。これはVFO-1では配置上無理。
もともとシャーシ裏に収納されている大型の発熱体であるドロッパ抵抗・ブリーダー抵抗は、シャーシ上に移設。シャーシ内には発熱体は置かないようにします。

ご参考までに、回路図と部品取り付け状況等の写真を数枚、示します。