いよいよ全日本10,000局アワードが終盤に差し掛かってきました。あと300cfm強です。
これまでずっと、ある会員制クラブのホームページに準備されているツールを使わせてもらって現状確認を進めてきました。
このツールは誰でも使えるようによく工夫されており、簡便に結果を見せてくれるし、いざというときには書類作成までしてくれる優れもので、非常に便利に使わせていただいておりました(す)。
< 課 題 >
しかし、いよいよ終盤戦にさしかかって整理のことを考えはじめたところ、ある時、難しい課題があることに気づきました。
それは、データが多い故のジレンマのようなことで、手書きは到底考えられないんだけれど、といってツールを使うと、
最低限の完成確認とそれにそった申請はできるものの「それ」に限定されてしまい、10,000局にも及ぶ大量の交信データを相手にしている割に
思い通りの整理ができないままになってしまいそう という課題です。
いわばネット上のAIがまとめてくれた結果を、中身を全く把握できないままそのまま申請するようなことです。
ツールはお手軽でこの上なく便利ではあるけれど、このまま突き進むとその便利さの裏返しとして、「何をどうして申請したのか、全然わからない」という事態に陥ります。
私は、
10,000局の中に、
所持証明をお願いする方とのQSOをはじめ、開局初期の思い出深いQSO(例えば1st QSO)、ローカルとのQSO、学生の頃の友達とのQSO、普段からお付き合いのある方とのQSO、全世界10,000局にも登場いただいたJA局とのQSOなどを、1500のリミットにかからないように残して話題にしたいと考えています。しかし、
ツールではそういったことが出来ませんでした。WAJAをなるべく多くのバンドで組めば「格」も上がるし、1バンド増えれば47局分を固定できるのでそれを利用できれば良かろうとも思ったのですが、そういうこともできないのです。
つまり、コールサインをひとつづつ確認して
どなたとのどの交信を明瞭にリストするかを意識しつつ、全体をどう作り込むか、考えることを楽しむことができないのです。
こういう自己満足の世界に加え、中身が分からないと、所持証明をお願いする方に
アワードをどうまとめたかを説明できないという課題もあります。
10,000局アワードはただ10,000局と交信するだけではなくて、整理を踏まえ、「中身はこうなってます」とお話しすることが出来て初めて協力をお願いできるのだと思うのですが、そういったことができないのです。
結局、これまで便利に使わせていただいたツールではあるけれども、それにどっぷり頼ると思い通り進めるのは難しいと分かりました。
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< 世の中に出回っているツールの調査・検索 >
そこで、世の中どんなものか、何か適当なツールは出回ってないかと検索してみました。
色々な方の書き込みを参照すると、この世界では、JO2HPOさんのソフトがもっとも広く使われているらしいとわかりました。
JO2HPOさんのHLAWDソフト
https://jo2hpo.sakura.ne.jp/items/HLAWD.HTML
検索方法に問題があるのかもわかりませんが、自前で準備したものを公表されている方は意外に少なく、本当に何人かの方に限られているようでした。
JA0IAAさん
http://www.amy.hi-ho.ne.jp/iaasada/award/jarl-1kaward.html
JA7FKFさん
https://www7b.biglobe.ne.jp/~studiozaigo/Sample.htm
申請用のフォーマットをエクセル化しただけというものはいくつか見られました。いまさら手書きするんでしょうか。。。
ともかくそれで、私のジレンマが解消できるものはないかと各ツールの中を少しずつ見せていただきましたが、中身を見ればまとめ方の方針は理解できるものの、結局どのツールも「完成確認」用であって、改修したとしてもアワードを自由に組み上げたいという私が感じているジレンマを解消するには至らなそうとわかりました。
皆さんとにかく苦労されていて、その上何か作戦を立てて整理しようなどとは思わないのでしょう。。。
そこで、思い切って自前でツールを準備することにしました。
自分でツールを作ればまとめ方は自由自在、それに沿った説明も、考えたことをそのまま自分の言葉でできるようになります!
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< 第2の課題 >
ところで、上記に参照したツールは、どれも現在の進捗状況を把握するためのもので、その目的には便利に使えるようでした。しかし、もう一つの大きな課題が見えてきました。それは
WAJA12組の最適化の問題です。
1万局アワードの効率的達成のためには、既存の「集計・現状把握」の機能だけでは不足しており、後述する
WAJA12組と9エリアとの複雑な関係性を踏まえた『データ配置の最適化』や『全体の組み合わせの最適化』まで踏み込む必要があるのです。
しかし、世の中にはこの目的で参照できるツールは見つかりませんでした。WAJA12組と9エリアとの関係性を踏まえた最適化は、終盤戦で直近の目標を定めることが主目的です。完成確認ではありません。このためには、個人個人の現在の状況や今後のプランなどに応じた複雑な解析を行わねばならず、結果として誰でも使える万能ツールの開発に至っていないものと思われます。
私が準備したツールも、既存のツールと同じく、あくまで進捗状況確認が目的です。申請の中身を詳らかにすることを目的にしたもので、WAJA12組の最適化を自動的に行うところまでは至っていません。
本稿では、私が行ったWAJA検討を、「WAJA作成ツール」の項にて具体的な手順を追いながら示すに留めます。
2つ使います。
(A)10,000局の整理ツール
(B)WAJA作成ツール
です。(A)は自動化がほぼ完了。(B)は手作業の補助ツールという位置づけです。いずれも、エクセルで作りました。
エクセルは並べ替えや重複削除の機能が充実しているので、これをフル活用します。
並べ替えは数字優先、重複削除は番号の若いセルを参照して下方の重複セルを除去するように動作します。基本的な作戦は、
(1)まず、各QSOデータに「必要度合い」を割り当て、
(2)それにもとづいて
必要度が高いQSOデータを若い行にするよう
全体を並べ替えます。
(3)それからコールサインの
重複を削除します。
そうすると、結果的に必要度合いが上位にあるQSOデータから順に抽出できるというわけです。これが10,000あればOKです。
必要度合いは、さまざまな観点から検討します。その観点ごとに必要度合いを関数化し、専用の列にQSO毎にフラッグを立てます。それらの列に優先順位をつけて参照し、昇順、降順などと決めて並び替えるのです。
つまり、重要度合いの関数化が重要なポイントになります。
これらを実装するのが「10,000局の整理ツール」です。
「10,000局の整理ツール」では、WAJA 12組を構成するQSOを最優先します。この12組を作るのが「WAJA作成ツール」です。
母集団が10,000局と膨大なので手作業で必要なQSOを抜き出すのは大変ですが、後述する問題は残るものの、手始めに12組作るということに限定すればツールを使って簡単に作れます。
事前準備
データはハムログから出力したcsvファイルを使います。適宜、eQSLやLoTWからダウンロードしたadifファイルとマージしておけば、チェック漏れを補うことができます。

最初に読み込むデータはこういうデータです。全部の交信ですから、何万行もにもなるはずです。
このデータを作成する際には次に注意します。
[1]ハムログから出力したcsvファイルの読み込み時に、JCC番号の頭のゼロが落ちないように注意
上の例だと10列目の0303の頭のゼロです。
・新しく開いたエクセルで、データ➜テキストファイル からcsvファイルをインポート
・区切り文字を "カンマ"にし、すべての列を文字列で読み込むように設定して読み込む
[2]ハムログで出力した全リストに含まれているDX局を事前に削除
上の右端、O列の分類で消去するのが簡単。
残すのは0のみ(JA局との国内QSO。/Pや/QRPにも0が付される)として、それ以外は消してしまいます。
8: DX局とのQSO
7J1RLや8J1RL、さらに、code欄にJCCではなくエンティティーコードを書いてDX扱いにしているJA局、JD1局なども含む。
9: DXエンティティーへの移動局(50年前のJA1SWL/A35などJA局のDX移動やDX局のDX移動などすべて含む)
DX局の他エリヤへの移動局(W1AW/3など)
海外局の/Pや/QRP(LU7EE/QRPなど)
10: 移動地を前につけたDXへの移動(4W/JE1CKAなど)
[3]QSL受領マークがないQSOは消す
上の例で言うと1列目、2列目などです。
(A)10,000局の整理ツール
この後に述べるWAJAリストを参照しながらアワードに必要な10,000QSOを抜き出して整理するツールです。
WAJAリスト: 後述します。もっとも優先順位が高いテーマ局を収めたリスト。重複するコールサインがあっても最優先し絶対に消しません。全部で564(=47都道府県×12バンド)のQSOです。
[1]各QSOデータへの「必要度合い」の割り当て
<エリヤフラッグ抽出処理>
QSOの必要度の高さを相手のエリヤで定義します。WAJAリストに続く第2優先になります。
このために、全QSOデータについて、相手局が運用したエリヤ別の数字を示す列を準備します。JCC番号、(移動局の)"/"の次の数字、プリフィックスの3文字目などを参照します。
例えばJR0BFCとのQSOが、JR0BFC(固定)や、JR0BFC/7、JR0BFC/9など、複数回ある場合、それぞれのQSOの行には0、7、9の数字が入るようにします。
<ベースコールサインの抽出処理>
移動局の"/"以下をとってしまった ベースとなるコールサイン を示す列を準備します。
上のJR0BFCの例では、どの交信でもJR0BFCが得られます。
[2]
必要度が高いQSOデータを若い行に移動、
全体を並べ替え
最優先:別途準備するWAJAリストにある564のQSO。
次優先:エリヤ順9-5-8-0-4-7-6-2-3-1など
最下位:ベースコールサイン。
この処理で、まずWAJAリストにある564のQSOと、それ以外の(最低9436以上の)QSOが分類されます。そしてそのそれぞれの分類は、9から1に向かって各エリヤごとに並べられます。またその各エリヤごとにベースコールサイン順に並べられます。
ベースコールサインの中を、さらに、サフィックスの文字数で分けても良いと思います。あるいは、ベースコールサインではなく、交信日付順で並べるというのもありでしょう。
[3]重複除去
ベースコールサインで判断して、重複する相手との不要な交信を削除してしまいます。
もしJR0BFC/7とのQSOが50メガ山形県のWAJAに必要なQSOとしてWAJAリストにあるなら、
並べ替え処理の結果それが最上位564局以内の(若い)行にあるので、ベースコールサインをリファーして重複削除すればJR0BFC/7とのQSOが残り、JR0BFC(固定)やJR0BFC/9とのQSOは削除されます。
どのQSOもWAJAリストになければ、エリヤ別の優先順位に従って番号の若い行に移動されているJR0BFC/9とのQSOを残し、JR0BFC(固定)やJR0BFC/7とのQSOは削除されます。
ここで、貴重な/9のQSOを削除してよいのかといった問題があります。そういう問題があるならWAJAリストを修正します。
この例では50メガ山形県の交信を、JR0BFC/7以外の別の局との交信にするよう修正します。
簡単なのは、WAJAリストに書く9エリヤや5エリヤとのQSOをなるべく固定局とのQSOになるようにしておくことです。そうすれば、9エリヤや5エリヤに移動した局とのQSOが他のエリヤで使われることもなくなります。
これで、JR0BFC/9との交信は復活します。
以上の結果、各エリヤ500局、上限1500局として合計10,000局以上あればOKです。
あとは提出書類の作成です。各エリヤで1500局のリミットをかけ、WAJAリスト局への〇つけ、さらにルールに従った順番に並び替えます。全部エクセルで出来ます。
よく注意しないといけないのは[1]エリヤフラッグと[2]ベースコールサインの抽出です。いずれも、次に続く
並べ替え処理、
重複削除という全体のアルゴリズムの根幹になりますから、何度も確認して間違えない関数を準備してください。
(B)WAJA作成ツール
WAJAリストは、このアワードの全体を考える上で強力なリストです。このツールのカギにとも言えます。
ここに載せた47県×12組=564局を最も優先順位が高い交信として扱うので、10,000局リストから抜け落ちることはないからです。
逆に言うと、十分に練ったリストとして完成させる必要があるということです。
一旦564局が形になれば気持ちが楽になります。
まずWAJAが12組出来ているかどうか、とにかくスムーズに、
なるべく簡便に確認するのがよいと思います。
しかし、問題はここからです。
できたと言えるようなリストは
そう容易くは完成しないのです。
先にあげた例; JR0BFC/9との交信が(9エリヤの移動局との交信が)JR0BFC/7との交信を優先するあまり重複削除されてしまうような不都合が起きないよう、よく注意する必要があります。
そのためには、
全体の調整を行うことが必須です。
この調整こそ、
アワード完成までのスピードと完成時のクオリティーを両立する重要ポイントといえます。
私は、この重要性と複雑さゆえにアルゴリズム化はあきらめ、必要は検討は手で行うことにしました。
つまりこのWAJA作成ツールは、WAJAが12組出来ているかどうかを
なるべく簡便な方法でスムーズに確認するための、初期の564局のリスト作成用です。
手で調整を行うための補助ツールという位置づけに割り切ることにしました。
<WAJA整理の第一歩>
WAJAは、余裕のないバンド、つまり、
交信数が少ない県があるバンドから検討をはじめます。普通は18メガや24メガのWARCバンドだと思いますから、そこから始めるのです。
そういうバンドから始めて、交信数の少ない県を含むバンドを幾つか検討して、それらでWAJAが4組出来たら、余裕で大丈夫と思えるバンドに着手するようにします。
それは普通は7メガや3.5メガだと思いますが、十分余裕があると思ってここから始めると、交信数が少ない他のバンドでの交信を(貴重な交信を)代替交信が豊富な7メガなどでカウントしてしまうこともあるので注意が必要です。
そこで、まず下の表を作り、作戦を練ります。
これは、縦軸を01県から47県、横軸を1.8メガから430メガとして作成した、
県別各バンド毎のQSO数のtableです。各セルの数値は、その県とのQSOがそれぞれのバンドでいくつあるかを表しています。
黄色のセルはQSO数が0である県・バンドです。
1.8メガと1.9メガ、3.5メガと3.8メガはそれぞれ合算してひとつのバンドとして扱います。

このtableを見れば、どのくらいの余裕でWAJAを12組作れるか、現状がひと目で分かります。
すぐに分かるのは、
0のセルがあるバンドではWAJAは作れないということです。上の例では、上下のバンドを除くと、18メガ、24メガ、28メガはNGで、
1.9メガから14メガの5バンド、21メガ、50メガの合計7バンドでWAJAを作れる可能性があるとわかります。念のためAJAPAでも確認すればいいと思いますが、値が0のバンドが多いと厳しいです。
あるいは値が0のセルはなくても1.8から430メガの12バンドすべてに1のセルがあるような状況では、12バンド全部を使ってやっと12組のWAJAがつくれるので、
1のセルに一発でも重複があったら終わってしまうとわかります。
この段階で終わってしまっては如何ともしがたいですが、
一般論として、局数が多い7メガや3.5メガでWAJAを4組ずつ、合計8組作るのは容易でしょうから
これらのバンドについて考えるのは後回しにして、3.5メガ、7メガ以外に(表に1や2の値を含んでいるとしても)確実に
WAJAができるバンドを増やすことが重要です。
足らなければ、そこに焦点を当てて交信を進めればよいと思います。
上の例だと、18メガ、28メガで1回でも16県(例えばPM96)とQSOできれば(CFMできれば)断然楽になるでしょう。
7メガや3.5メガとの兼ね合いですが、これがmustなら
群馬コンテスト一択でしょうか! 固定局とQSOできれば重複の可能性が低いので確実度が上がります。
当たり前ですが、結局のところ、3.5メガ、7メガ以外に値が0や1、2などのセルを含むバンドがなるべく少なくなるよう、
できるだけ多くのバンドで、満遍なく、ユニーク局とのQSOを積み上げることが大切とわかります。
また、値が1や2などのセルに もともとユニーク局とのQSOがあるなら、それはWAJAを12組作るために
鍵となる重要なQSOなので大切に扱う必要があるカードだとわかります。優先してQSLを探すとよいでしょう。
<WAJAリストの作成>
WAJA 12組が出来そうなら、具体的に追い込んでいきます。
[1]ベースコールサイン抽出
移動局の"/"以下を除き、ベースとなるコールサインを準備
[2]QSO数の少ない県・バンドとのQSOを優先して若い行に移動
17県の50メガや06県の1.9メガなど、数が少ないQSOを上の行に集めます。上のtableを参照しながら、必要なセルに対応するQSOを、番号の若い行に集めるようプログラムすればよいでしょう。
逆に、数が多い、01県や10県、20県との7メガでのQSOや、地元27県、25県との50メガでのQSOは最下方に集めます。
[3]重複除去、WAJAリストへの転記
以上の手順を踏みながら若い行にあるQSOのベースコールサインを基準に重複削除して徐々に絞り込んでいき、その都度、上位にある交信をWAJAリストに転記します。
このようなことを繰り返していけば、手始めに使うWAJAリストは半日もあれば完成できます。
形にさえなれば、JCC600と同規模ですから、手作業で、1局1局全部、相手のコールサインを確認することも十分可能です。
この作業を落ち着いてやれば、苦労というより、過去何十年ものアマチュア無線歴を振り返ることができる至福のひと時になるでしょう。それぞれがどんなQSOだったかとか、その方はどんな方だったか、今もお元気だろうかなど、古いログを出して来て色々思いを巡らせながら楽しく進めるのがいいと思います。
このツールはここでは一般公開はしませんが、ご連絡いただけたらもっと踏み込んだ詳細をお話しします。3年も5年も経ったら忘れてしまいそうですが、少しの間なら大丈夫です。10,000局という特別な世界を一緒に楽しめる方からのご連絡をお待ちしています。